オリンピック随想 3    ジュリィって、澤田研二のこと?

 さにあらず、オリンピック柔道競技で、度々競技判定にいちゃもんをつけた審判委員のことだ。主審と副審の判定に異議を唱え、判定を覆した。勝負の微妙な瞬間の審判の判断に疑問があると、ビデオ画像を再現して、判定をし直すのだ。審判員は面目丸つぶれだ。
 科学計測が進歩して、微妙なタイムの差まで判定できるようになり、水泳や競走の判定は正確無比になった。しかし、柔道やレスリングのような格闘技では、競技の流れをまじかで見ている審判者の判断が主であるべきで、一瞬の技が判断に迷う場合にのみ画像を参考にするのが妥当ではないのか。五輪競技ではないが、ラグビーの判定は映像を参考にすることはあっても、審判の権威は絶対だそうだ。かっては競技者と審判の間に信頼関係があって、審判の権威が保たれていたが、科学計測の進歩でそれが崩れ、お互いに不寛容の状況が生じて、人間関係が薄れる傾向になってきた。
 この風潮がさらに進んで、すべてが審判ロボット判定になったら、競技は無味乾燥なものになり、パソコンのゲーム感覚で人間が操られるようになるのではないか。多少の誤審の恐れはあっても、競技は人間味を失うべきではないと思う。