旧作でお茶濁す

身辺雑事を披露して、発句を添える積りが、忽ち頓挫。で、取り敢えず、旧作を引っ張り出し、お茶を濁す事にする。

 毎年、年の暮れに、昔の仲間が集まって、「河豚を食う会」がある。連中の殆どが古希を越えた齢だから、年々、1人欠け、2人欠けして頭数が減ってゆく。酒量も落ち、かっては、銀座で呑み過ぎて、東海道線の夜行へ乗り、茅ヶ崎へ帰るのに、目が覚めたら、汽車は「関が原」を走っていた、なんていう豪傑も、今や、一,二杯の鰭酒で、こっくりこっくり舟を漕いでいる。
 それにしても、昔、銀座の料亭で喰ったふぐは美味かったなあ。

   また一人 佛となりし ふぐ仲間
   
   ふぐ喰うて いささか 毒のまわる如