絆とは?

 三月十一日の大震災の日、我が家は幸い被害少なく、夫婦2人、難を免れたが、電気、水道、電話、ガス、すべてのライフラインが止まり、10日ほどは数十年前の日常生活に逆戻りした。電気仕掛けのものはすべて動かない。水や燃料は給水車、炭などで代替できるが電気だけは自家発電でも無ければお手あげ。子供の頃、映画で、古川ロッパが風車で電気を起して、ちらちらと電灯を点したシーンを観て、大笑いしたのを思い出したが、今や現実となったのだ。情報は携帯ラジオのニユースのみ。3日めに給水所で配られた新聞をむさぼり読んだ。ご近所と有り合わせの材料を持ち寄り、共同炊事が始まった。ガソリン節約で、用足しは相乗りで出かける。こうした事がごく自然に始まった。罹災地には緊急食料が配られたが、受け取るお年寄りが、自分は2人だけの家族で少しで結構、その分家族の多い人の廻してあげてと云っているのを聞いて、胸が熱くなった。数多くのボランティアがインターネットを駆使して、動きの遅い行政の対策をきめ細かくカバーした。
      
       春冷えに 人の絆を しみじみと

春浅し 里山からの 恵み水
           震災で水道が止まり里山の雪解け水を重宝した