久し振りにいい映画を観ました。「RAIL WAYS愛を伝えられない大人たちへ」です

 定年を迎える夫婦、夫は仕事一途な地方鉄道の運転手、妻はこの区切りに、専業主婦から看護士として再出発を思い立つ。富山の田園地帯を背景に、人生再出発に食い違うお互いに悩み、紆余曲折の末、愛を再認識するまでを描く。「RAILWAYS第1作、49歳で電車の運転手になった男の物語」で助監督を務めた蔵方政俊が初監督、脚本の小林弘利、ブラジリー・アン山田はともに40台だが、定年世代の心理を見事に描いている。
 主演の、三浦友和余貴美子は円熟の演技でいいが、助演の小池榮子、中尾明慶吉行和子、西村雅彦等もなかなかの好演技を見せる。台本が良く書けているので、演出に効果を齎し、演技もし易くしているのが心地よい。筋の運びには巧みなヤマ場も設けている。定年を迎える世代に生じ勝ちなトラブルで問題を投げかけ、それを乗り越えて、改めてお互いに愛を確かめる結末が仄かな感動を齎す。
 昨今、異様な設定で、意表を突く映画が多いが、若い世代のスタッフが、初老の世代に問題提起をしたこの作品に感服した。
 機会があったら、一見をお勧めしたい。