「ダルビッシュ移籍」に想うこと

 1億1千万ドルのお金が動いて、彼は、米大リーグのテキサスレンジャースで腕試しをすることになった。日ハムにも5,170万ドルのおすそ分けが入るので、本人はもとより、日ハムもテキサスレンジャースも願ったり叶ったりな結構な話とマスコミは伝える。が、聊か腑に落ちない一面が残る。
 と言うのは、アメリカのプロ野球界と日本のプロ野球界はスケールも違うし、成り立ちの経過から、選手のやり取りはアメリカのルールで行われるのは致し方ないとしても、長年かかって築いてきた日本野球の成果が、アメリカに金で吸い上げられていくように思えてならない。「日本のプロ野球のレベルは決してアメリカに引けをとらないのにー」という野球評論の張本氏の嘆きには同感だ。腕に覚えのある選手がアメリカ球界を目指すのは致し方ないが、日本のプロ球団が、ポスティングシステムの ”人参”に釣られて、「虎の子選手」を手放すのは「親孝行物語」では済まない様に想う。日本の球団には概ね親会社という「金ずる」があって、独自の運営ができない家庭の事情がある。最近は、球団の地元支持層が増えてきて、楽天のように、球団運営にかなりの利益を齎す成果を挙げている例も見られるようになってきた。球団の親会社も、球団へ落とす補助を自社の宣伝費と考えるような姿勢をあらためて、球団運営の自立をはかる手はないものか。巨額の金で選手がトレイドされる、それをマスコミが囃したてる現状は、若い世代の夢が歪んだ方向に行く心配もある。先日、自分の考えが球団と合わないと監督就任を断った、元西武の工藤公康氏、44歳でなお現役にこだわるサッカーの三浦知良氏など、人生を貫くスポーツマンシップこそ、もっとマスコミが取り上げて、若い世代に伝える機会を作るべきだと思のだが、いかが?