近来の時事片々

三国連太郎の死
90歳で亡くなったが、彼の若い頃を知っている世代も少なくなっているだろう。私は、1950年、彼の映画デビユー作「善魔」を観ている。岡田英次の代役で急遽、木下恵介に採用されたのだが、なんと言う大根役者だと言う印象だった。彼は1923年生まれで、私より7歳年長だが、殆ど同年代と見えた。戦後、20歳代前半が戦争で死んで、若者払底の時代だった。三国連太郎は、戦中戦後の青春を時代に翻弄されながら、社会の底辺で、かなり非常の経験をした後、松竹のプロデューサーと偶然の出会い、俳優になったらしい。その後、暫く、彼の出演作を観ていなかったが、1965年水上勉原作の映画「飢餓海峡」で一躍有名になった。デビユーから15年、映画全盛時代、多くの作品の経験を積み見違えるような演技をみせたが、役に入れ込むあまり、数々の奇行で、周囲の共演者の顰蹙を買うことも再々に及んだらしい。1988年から20作に及ぶ「釣りバカ日誌」シリーズは西田敏行とのコンビで松竹のドル箱作品となった。シリアスな役からコメディまで巧みに演じ、戦後の邦画を走り抜けた最後の映画俳優だった。 養父が被差別部落の出身だったことも明言して、差別問題の運動にも熱心だった由。彼が単なる「役者バカ」ではなかった一面と言えよう。そのハチャメチャな90年を「戒名不要、遺体は散骨」と言い置いて、旅立ったと言う。
 五線譜の欄外に”ディミヌエンド”とあるような臨終の印象だった。

ネット選挙に不安を感ずる
 ネット選挙解禁で、一部議員達は舞い上がっているが、当方は少なからず不安を抱く。パソコン利用は若年層ではかなり普及しているが、高年齢になるに従い、利用は少なくなり、多少の操作で利用している小生などでも、まだパソコン不信の感がある。「ツイッター」、「ブログ」、「フェイスブック」などチンプンカンプンの年寄りもかなりの比率で存在するのではないか。当事者の議員にもこの手合はいて、少なからぬ選挙対策不安を持っていいるそうだ。IT関連業界の売り込みは既に加熱状態の由。利便の裏には弊害がつきもの、いくら規制をはってもその網の目を潜って世論操作をする輩が現れるのは眼に見えている。民主党の海江田代表はツイッターフェイスブックも開設していないそうだ。周囲には[毛筆が一番好きだ」などとこぼしているそうだが、そんな呑気な事で済む問題ではない。