コンピューターに負けたプロ棋士

 電王戦を戦ったプロ棋士団体戦で負けた。22日の朝日新聞天声人語は、「科学史に記されるべき話で、将棋の魅力をいささかも殺ぐことはあるまい」と言っている。だがまてよ、そんな軽い話では済まない。もっと深刻な問題を孕んでいる。
 負けた、実力屈指のプロ棋士のショックに留まらず、これは”人智”と”機械”の大勝負だったのだ。人類を滅ぼす、コントロール不能になった核兵器の恐ろしさを予言していると言ったら大袈裟に過ぎるだろうか。コンピューターソフトは、東大チームが手塩にかけたものだそうだが、目的は単なる遊びではあるまい。その意図するところを聞いてみたい。
 最近の、科学技術の尖端は、聊か”視野狭窄”な嫌いがある。地震予知に関わる断層帯の推定なども学者はテンデンバラバラにまことしやかに推理するが、所詮は仮説に過ぎず、地球の中を粒さに調べた結果ではない。天災は人間の予知不能な自然現象なのだ。科学万能に只管突走った先には大きな落とし穴が待っているぞ。