参議院選挙に私見

 先日国会審議を見ていて、参議院民主党議員の肩書きに「新緑風会」とあるのに気付いた。参議院が「良識の府」と言われ、政党色に捉われない審議はいつの間に消滅し、政党に蚕食されてしまったのか、経緯が知りたくなって調べてみた。
 戦後、新憲法が制定され、当初、GHQから提示された「一院制」を当時の松本蒸冶国務相がその場でただちに反対して、二院制は実現した由。多数党の独走、腐敗、党利党略などの政党政治の弊害を防ぐため、不可欠と考えたからだ。1947年第1回の参議院選で無所属議員は108名の最大勢力となった。選出されたのは、戦前の貴族院議員経験者や官僚経験者、文化人などで、政党色のない不偏不党の統一会派を作り衆議院と一線を画そうという機運が生まれた。第1回の参議院本会議が5月20日だったので、「緑風会」の名称が即座に決まったそうである。「是々非々」を旨とし、政府与党に関与した議員にも党議拘束をかけなかった。其のため、同じ法案に会派内で賛成、反対の討論が行われたこともあったそうである。しかし、各政党からの働きかけで次第に参議院の政党化が進み、「55年態勢」成立後は自民党への流失が続き、緑風会の活動は消滅して、懇親団体となってしまうのである。現在の「民主党新緑風会」なるものも形骸化した曖昧な名称に過ぎない。
 さて、今、与党の主張する衆参ねじれ解消だが、これが実現すると、与党の独走は歯止めが利かなくなる。やがては、「憲法改正」、「原発再稼動」に道を開くことになる。今回の選挙では、取り敢えず、参議院の与党過半数をなんとしても阻止し、参議院の大改革を図って、参議院の政党支配を制約する手立てを考えるべきと考える。二院制をとる国にも色々な制度があるようである。