「出会い」が「展開」を齎す

 晴天に恵まれて、秋の「妙高高原」「新潟」を訪ねた。わが青春時代は、赤倉、燕、関、などのスキー場は若者スキーヤーにとっての憧れの地であったが、今のひっそりとした季節外れの妙高には予想外の出会いの収穫が多かった。一泊したペンションは9室、設備は必要最小限だったが、あるじは、寮の管理人からの転身、自営2年、一人で切り回す。冬シーズンには南半球の外人客が多く、館内随所に英文のインフォーメイションが掲げてあった。好人物らしいあるじの、従業員と見まがう応対は心地よい印象だった。翌日レンタカーで回った「いもり池」「苗名滝」「野尻湖」など、自然のままの妙高高原は有りの儘の見どころがある。昼食はプロバンスレストランという触れ込みの、住宅地ど真ん中の小さな店、これがすこぶる付の代物。赤倉本通りで30年の店歴を持ち、2年前に今の場所に移った由だが、シェフは地元出身、大阪出身のかみさんが地元の契約農家から野菜を仕入れ、それと地魚で創る料理は鄙には稀な、久々に出逢った美味しいランチだった。而も値段もリーゾナブル。翌日は直江津北の、鵜の浜温泉に泊まり、新潟経由で仙台に帰ってきた。新潟で食べた「こしひかり」はドコで食べても一様に旨かった。好天下に歩いたせいもあるが、未知の自然に触れ、人に逢うことが、予想外の非日常経験の収穫だった。

 阿倍総理は就任以来、世界40か国を巡り、友好に努めているが、相手を知り、良かれ悪しかれこちらを印象ずける事が最大の成果だったのではないか。それが、隣国の中国、韓国と実現出来ないのは今日の外交最大のマイナスというべきだ。歴史認識の相違や主権の維持を主張しあっていては埒が明かない、こちらから、まず会うための打開にもっと知恵を絞るべきではないか。