「パナマ文書の漏洩」と「バスケス」ウルグアイ大統領

 パナマの法律事務所モサック・フォンセカから1150万件もの機密文書が匿名で「南ドイツ新聞」に漏らされ、今年4月全世界に知れ渡ってしまった。世界の大政治家の周辺人、富裕層が税金逃れに「タックスヘブン」と言われる国に預金を移している実態が国民にあからさまになり、失脚に追い込まれた政治家も出始めた。この行為は違法ではないが、明らかに「脱法行為」と言わざるをえない。清廉であるべき政治家としての行為は本人のみならず周辺も厳しく問われなければならない。
 一方で、南米のブラジルとアルゼンチンに挟まれた小国、ウルグアイ東方共和国の「バスケス大統領」の存在を紹介したい。面積17.6万平方キロ(日本の約半分)、人口342万人の立憲共和制の小国である。彼は1935年生まれの貧困層出身で、都市ゲリラに参加して、13年間収監生活を送り、2009年大統領に選出された。その生活は大統領の月収97万円の大半を貧困層対策に提供し、月10万円で、首都モンテビデオ郊外の農場暮らし、資産は1987年製フォルクスワーゲン1台のみ。南米の右、左諸国の緩衝として穏健な存在を維持している。同国の大統領は任期5年で連続再選禁止だから、来年は任期満了で退任する。
 大国に君臨して栄華をほこり、財をなしてその始末に汲々とする富裕層数多の一方で、ウルグアイバスケス氏の存在に爽やかな拍手を惜しまない。