熊本の大地震の示唆すること

 14日に起こった熊本の大地震震度7の揺れに2度みまわれ、2週間経った時点で震度1以上の余震が千回を超えなお収まらない。2度目の震度7の揺れで崩壊した家屋の下敷きになった犠牲者が出た影響で、自動車の社内やテントで寝る人が増え、エコノミー症候群に罹る人や収まらない余震に神経障害の症状も増えている。築城の名手加藤清正が築いた「武者返し」の石垣も2度の震度7には崩れて全国に大きなショックを齎した。
 今回の震源は熊本周辺を西南から東北に走る活断層上で起こり、余震の震源もそれを明確に示している。49人の犠牲者は痛ましいが、津波の発生が齎した5年前の東北大地震の被害に比べると人的被害は少ないと言える。ただ、依然として収まらない余震を発表する気象庁の青木津波地震課長にはお気の毒な印象を受ける。
 1596年畿内をおそった「慶長の大地震」の4日前大分県でМ7程度の地震があった記録があるそうだが、以後九州では大きな地震がなかったらしい。それだけに、今回の地震を齎した活断層の歪のエネルギーはかなり溜っていたのではなかろうか。400年の歳月は人間にとっては長いようだが、自然の営みではほんの一瞬の時の経過なのだ。「九州には大地震がこない」と言った安心感がなんとなくあって、大災害への備えの気構えが足りなかった嫌いは無かったろうか。災害に逢わない地域の防災意識は関心を持たない輩が半数と言う。政府や自治体の対応も色々検討の必要がある。関西淡路地震、東北大地震の経験も活かして、災害対策の大系を作る必要がある。政府には、ろくな実績のない行政機関がある。そんなものは整理して、災害対策の「省」なり「庁」なり設けて、強力な行政機関とするべきだ。